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2012年11月6日(火)

AVGにはもっとゲーム性を、メーカーにはもっとチャレンジをしてほしい――MAGES.に入社した高橋名人にインタビュー

文:電撃オンライン

■志倉氏の人間性に惹かれてMAGES.に入社

――高橋さんがハドソンを退社された当時も驚きましたが、今回のMAGES.入社も同じく驚愕しました。高橋さんの中で入社するきっかけはなんだったのでしょうか?

高橋名人インタビュー

高橋:社長の志倉さんに惹かれたからですね。あの人はアーティストでありながらコーディネーターでもあり、自ら開発なども手掛けるというとてもマルチな才能を持つ人なんです。話をしていてとてもおもしろく、一緒に何かをやってみたいと思いました。

――なるほど。

高橋:あとはもう1つ重要な理由があります。私がハドソンから『ゲッチャ!』に入ったきっかけは、“メーカーの枠にとらわれない宣伝がしたかった”からでした。そのため、MAGES.にお誘いいただいた時には「せっかく状況を変えたのに、今度は5pb.のゲームしか取り扱えなくなってしまうのでは?」という不安があったんです。でも志倉さんが「ゲーム業界全体を盛り上げてくれるような活動をしてくれればそれで構いません」と仰ってくれたんです。それが入社を決断する言葉でしたね。

――では、入社後も今まで通りの活動を行えると。

高橋:むしろ輪が広がったと思っています。MAGES.はゲームだけでなく音楽やアニメも手掛けているので、その部分でも協力できたらなと。特に私自身、音楽にすごく興味がありますしね。……まぁ、採用していただけるかどうかは別ですが(笑)。

――いえいえ! 名人のCDが発売されたら絶対に買わせていただきます!! そういえばMAGES.とは直接関係はないですが、最近は声優としてもデビュー(※3)されましたね。

高橋:最初の声優の役が自分をモデルにしたキャラクターだったので助かりました(笑)。演技について「『高橋名人の冒険島』(※4)のCMのようなイメージでお願いします」と言われたので「それでいいんだ」と。

――オンエアを拝見させていただきましたが、能天気な雰囲気が逆に怖かったです。善悪の境界がないというか……。

高橋:そうですね。それが原作者の井上さんの狙いだったようです。凄味があるよりも能天気なほうが逆に怖いんじゃないだろうかと。ただ、今後は違う顔も見せるかも? そちらもご期待いただければと思います。

――期待しています。では今後新たに高橋さんが挑戦してみたいことはありますか?

高橋:すでにマネージャーがいろいろ頑張ってくれているんですよね。この前もプーマさんのショッププロモーションムービーを撮影するために大阪まで行ってきました。

――高橋さんとスニーカーのイメージが結びつかないのですが、どういうきっかけだったのでしょうか?

高橋:用意されたセットにボタンが設置されていて、「ボタンと言えば高橋だろう」ということで呼ばれたらしいです(笑)。

――確かに(笑)。現在はユーザー向けの活動が多いですが、例えば専門学校の講師などは興味ありますか?

高橋:去年ですが半年ほどやりましたね。“ゲームは楽しい”という部分は教えることはできても、どうやったら楽しくなるのかを教えるのはすごく難しいんです。人間の感覚はそれぞれ違いますから、おもしろいと思うポイントもそれぞれ違うんですよね。まぁ、今後も頼まれて臨時で行くことはあるかもしれません。

――広報の仕事を具体的に教えるというのはいかがでしょうか? ゲーム系の専門学校には広報の活動を教える学科があまり見受けられないと思いますので。

高橋:雑誌の作り方を教える教室などはありますが、広報となると難しいですね。なぜかというと、普通の宣伝しか考えられない人と奇抜な宣伝を考える人とではどちらがメーカー的に欲しいかと言うと、実は普通なほうなんですよ。奇抜な宣伝は代理店の方が考えればいいわけですから。社内としてはきちんとお金の計算ができたりマーケティングができる人間が必要なんですよ。勘違いされている方もいらっしゃるかもしれませんが、宣伝とは元々そういう堅い職業なんです。そのため、この仕事に就きたいなら実地で勉強するのが一番ですね。ただ、学生時代にさまざまなことを経験しておくのはいいことだと思います。

――なるほど。宣伝の仕事を選ぶか代理店の仕事を選ぶかでもまた変わってくると。ちなみに高橋さんはハドソン当時からタレントとしての活動も相当お忙しかったようですね。

高橋:当時は30分刻みで別の取材が入っていましたね(笑)。基本的にはインタビュアーの方に会社に来てもらっていたのですが、何度か手違いによって別の場所で取材が入っていたこともありましたね。移動だけで30分かかっちゃうからインタビューが1分しか取れないんですよ(笑)。

――スケジュールが詰まりすぎていてマネージャーの方も把握できなくなっていたのでしょうね。イベントなども大慌てだったのでは?

高橋:そうですね。イベントは今みたいにインターネットで情報を得ることができないこともあり、ファンの追っかけ隊がついてきました。彼らに「今日はどこに泊まるの?」と聞いたら「そのへんのベンチに……」とか言うので、スタッフでお金を出し合ってホテルに泊めてあげたりしましたよ(笑)。

――それはすごい(笑)。

高橋:大規模な大会はまたやってみたいですね。今はなんでもネットになってしまいましたが、“ネットで”ではなく“ネットも”という状態にしたいです。やっぱりリアルのほうが熱気も直に伝わるし、おもしろいですよ。

→『ブレイブリーデフォルト』こそもっと売れてほしいゲーム(3ページ目)

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