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2013年3月5日(火)

ガチムチTPSの金字塔『ギアーズ オブ ウォー ジャッジメント』のゲームシステムとゲームモードをおさらい! 開発者インタビューもあり

文:イトヤン

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■『ギアーズ オブ ウォー ジャッジメント』のシニア プロデューサーに、各ゲームモードに込められた意図を聞く! 

 今回のプレビューイベントに合わせて、Epic Gamesで『ギアーズ オブ ウォー ジャッジメント』のシニア プロデューサーを務める、クリス・ウィン氏が来日。本作の制作意図についてインタビューを行った。

『ギアーズ オブ ウォー ジャッジメント』
▲Epic Games シニアプロデューサーのクリス・ウィン氏。

――本作は『ギアーズ オブ ウォー』シリーズの4作目ですが、『ギアーズ オブ ウォー ジャッジメント』と、タイトルからナンバリングがなくなった理由を教えてください。

 これまでの『ギアーズ オブ ウォー』3部作は、マーカス・フェニックスを主人公とした、大きな1つの物語でした。でも今回は『ギアーズ オブ ウォー3』の続きというわけではなく、これまでの流れから離れた、まったく別の物語です。ファンのみなさんが、マーカスを主人公とした新しい物語だと誤解することがないように、『4』ではなく『Judgment』というタイトルにしました。

――これまでのシリーズに登場した脇役たちの中から、ベアードが主人公に選ばれた理由はなんでしょうか? 他に主人公の候補になったキャラはいたのでしょうか?

 本作を開発するにあたって、ファンのみなさんが何を期待しているかリサーチしてみたところ、エマージェンス デーの時に何が起こったのかという点に、多くの人が興味を持っていることがわかりました。それと同時にベアードが、シリーズの中で最も人気のあるキャラクターだとわかったのです。

 しかもベアードは、これまでの3部作の中で唯一、その過去が明らかになっていない人物です。そのため過去に時間をさかのぼって、エマージェンス デーの時に何が起こったかということと、ベアードはなぜ士官から一兵卒に降格されたのかということを、同時に描くことができると思ったのです。

●より短い時間で濃く遊べるゲームモード“Survival”

――従来までの“Horde”や“Beast”にかわって、新たな協力プレイとして“Survival”が登場した理由は?

 私たちは本作を、これまで以上に密度が濃くて、挑戦しがいのあるゲームにしたかったんです。そのために全体を見直すなかで、協力プレイも再検討することになりました。

『ギアーズ オブ ウォー ジャッジメント』 『ギアーズ オブ ウォー ジャッジメント』
▲迫り来るローカストの大群から拠点を守る“Survival”モード。

 そこで『ギアーズ オブ ウォー 3』でのプレイヤーの動向を見てみたところ“Horde”モード自体は50ウェーブ全部をクリアするのに3~4時間かかるにもかかわらず、ほとんどのプレイヤーが45分~1時間ぐらいでプレイを止めていることがわかったのです。それならば、1時間で最後までクリアできて、しかもその1時間のあいだずっと密度の濃いプレイが味わえる、新たな協力プレイを用意しようということになりました。

 今回の“Survival”は全部で10ウェーブとなり、マップのサイズも見直しています。少し難しいけれど、絶対に最後までクリアしたい! とプレイヤーのみなさんに思ってもらえる内容になったと思います。

●やっぱりローカストが強めの“OverRun”

――協力プレイだけでなく、マルチプレイ対戦にも新たなゲームモードが加わっていますが、それぞれの特徴と、その意図を教えてください。

 “Free-For-All”はデスマッチ形式で、他のシューターの対戦でも非常に人気のあるモードです。実はファンのなかには、『ギアーズ オブ ウォー 3』の“King of the Hill”で、自分たち独自のデスマッチをプレイしていた人もいたぐらいなんです。でもそうすると、リングを占領するわけではないので、いつまでたっても対戦が終わらないですよね(笑)。そこまでファンのみなさんが望んでいるのならと、今回は正式なゲームモードとして用意しました。

 “Domination”も他のシューターの対戦では人気のあるルールで、今回は実験的に採り入れてみました。コンセプト自体は『ギアーズ オブ ウォー 3』の“King of the Hill”に近いものですが、“Domination”では占領しなければいけない3カ所のリングの位置が常に固定されています。

 前作の“King of the Hill”だと、リングが次に移動してくる位置で先にプレイヤーが待ち構えているというような状況が発生していたのですが、今回はそういうことがなくなったので、より競争が激しくなっていると思います。

 そしていちばんのオススメが“OverRun”です。これは『ギアーズ オブ ウォー 3』の“Horde”と“Beast”を1つに組み合わせたような内容です。

 基本的には協力プレイの“Survival”と同じなのですが、“Survival”ではプレイヤーのチームが常にCOG軍としてローカストを迎え撃つことになるのに対して、“OverRun”では2つのチームがCOG軍とローカストに分かれて対戦することになります。1回対戦したら今度はCOG軍とローカストを入れ替えてもう1回対戦して、2回の合計で勝敗を決めるのです。

 表面的にはシンプルに見えますが、クラス制でプレイヤーの役割を選択できるので、自分がどの役割を選ぶかといった戦略や、チームの編成を考えると、非常に奥の深いものになっています。

――特にローカスト側は、非常にバラエティに富んだクラスが用意されていておもしろいですね。

 開発中に生まれたローカストの戦術では“ティッカーラッシュ”というものがあります。チーム全員がティッカーを選択して一斉に突撃すると、COG軍は守るのにかなり苦労しますよ。あとは、グレネーディア4匹とカンタス1匹というチームで、カンタスが仲間のグレネーディアをどんどん回復させていくというのも、かなり強力な組み合わせですね。

――昨年のE3 2012を取材した際に“OverRun”を試遊させてもらったのですが、その時はローカストがかなり強かったという印象でした。製品版ではいったいどのようなバランスになっているのでしょうか?

 E3のデモはあくまで開発段階のものでしたから、そこから長い時間をかけてチューニングしています。ただ基本的な考え方として、“OverRun”というのは常にCOG軍が防御しているところにローカストが攻め込むという内容なので、バランスとしてはローカストのほうを少しだけ強くしてあります。攻撃する側を強くすることで、防御側もやりがいのあるものにしたかったのです。

 2つのチームが交互にCOG軍をプレイして、どちらも負けてしまった場合でも、どれだけ長く持ちこたえたかによって、勝敗を競うことができますから。とはいえ、ローカストを少し強くしてあるといっても、ギリギリのバランスで調整してありますよ。たとえばコープサーは、E3のバージョンではものすごく強かったのですが、製品版ではそれに比べるともう少し倒しやすくなっています。

『ギアーズ オブ ウォー ジャッジメント』
▲とはいえ、今回の体験プレイでもやはりコープサーは猛威をふるっていた。

●プレイヤーはローカストでプレイするのが好きではない?

――“Free-For-All”や“Domination”では、COG軍のキャラだけを選択可能で、ローカストは使用できませんが、その理由は?

 それには2つの理由があります。まず、ローカストは外見も能力も人間のキャラよりずっと変化に富んでいるので、ゲームシステムのメモリに与える影響が大きいのです。その分のメモリをローカストのキャラに費やすよりは、武器の種類を増やしたりするほうがいいという技術的な判断です。

 もう1つは、これまでのデータを見ていると、プレイヤーが対戦をやめてしまうのはたいてい、自分がローカストをプレイするようになった時なんです。それを考えるとファンのみなさんは、ローカストでプレイするのがそれほど好きじゃないんだろうなと。

――昨年、『ギアーズ オブ ウォー』の生みの親ともいえるクリフ・ブレジンスキ氏が、Epic Gamesを退社しましたが、彼がシリーズに残した影響とはどんなものでしょうか?

 彼がシリーズに与えた影響というのは、本当に大きなものです。たとえば、登場するキャラクターが重みを持った姿になっていて、まるで体当たりをするような勢いでカバーポジションにつくといった表現は、彼のアイデアです。

 また彼は、コントラスト(対比)を強調することを心がけていました。本作では新キャラクターとして、若い女性のソフィアと中年男性のパドックという対称的な2人が登場していますが、これもコントラストのひとつです。

▲ストーリーモードで登場するパドック。マルチプレイでも使用できる。

 また、遠距離を攻撃する銃がチェーンソーとして接近戦でも使えるといった具合に、ランサーという1つの武器のなかでもコントラストが強調されています。こうした考え方は彼がシリーズに持ち込んだもので、それが今も生き続けているのです。

『ギアーズ オブ ウォー ジャッジメント』

――『ギアーズ オブ ウォー ジャッジメント』を制作する上で、過去のシリーズをどのように意識しましたか?

 本作を考える上でまず最初に考えたのは、ゲームとしての楽しさです。それを最優先した上で、その次に、これまでの3部作との一貫性というものを考えています。論理的に考えれば、「なぜ過去の話なのに、今まで出てこなかった新しい武器が出てくるんだ?」とか、そういうところもあるとは思います(笑)。

 もちろんストーリーとして、これまでの3部作と矛盾が出ないようにはしてありますけれど、我々の意図はなによりも、プレイして楽しいということを最優先しています。

――ありがとうございました。

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