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2013年6月22日(土)

ネタバレ注意! 『真・女神転生Ⅳ』発売1カ月後だから明かせる深遠なテーマと、気になる数々の謎を開発陣が語る

文:まさん

■ヒカルが制服姿な理由は!? 設定と物語を読み解く重要なキーワードに踏み込む

『真・女神転生IV』

──次はキャラクターについておうかがいしていきたいと思います。まずは、サムライ衆のデザインコンセプトについてお聞きしてもよろしいでしょうか。

土居:サムライの衣装は、あえて東のミカド国の文化を考慮しない方向で設定しました。あの国の服装は、基本的にリアリティを重視した中世風の服なのですが、サムライだけは架空のものなんです。設定としては、建国の祖であるアキュラから始まったサムライ衆の装備が、代々伝わってシェイプアップされていった結果、あのような衣装になったイメージですね。

──冒頭の儀式の時、サムライたちは白い帽子をかぶっていましたね。

土居:あの帽子は、和装の侍烏帽子(さむらいえぼし)を模しています。江戸時代など、武家の元服の儀式での後見人のことを烏帽子親って言いますよね? ガントレットの儀も、東のミカド国での成人の儀式のため、元服に例えました。サムライの衣装は和洋折衷をコンセプトにしましたが、和の要素は多めに取り入れていますね。

山井:土居の話に便乗すると、衣装は東のミカド国の文化だけでできているものではない、という部分を想像してもらいたかったんです。例えば、修道院は東京の遺物を発掘しているのですが、発掘された遺物があるということ自体を一般の民には伏せています。しかし、サムライやラグジュアリーズの一部は知らずに東京の遺物を使っているんですよ。そうした意味でも、あの国のゆがんだ部分が想像してもらえるかな、と。

『真・女神転生IV』
▲修道院。よく見ると、後ろに自動車らしき物体が置かれている。あえてはっきりと説明せず、さまざまな情報の断片からユーザーの想像を刺激する演出は、昔から続く“メガテンイズム”を感じさせる部分だ。

──ちなみに、各サムライたちの外見にはモチーフがあるのでしょうか?

山井:ミュージシャンをモチーフにした人物が多いです。例えば、ワルターはセックスピストルズのシド・ヴィシャス。ヨナタンは、クイーンのブライアン・メイをイメージしていました。

土居:僕も、ワルターにはジョニー・ロットンやシド・ヴィシャスのイメージを持っていました。ですが、よりシド・ヴィシャスが持つ魅力を出せるように表情を工夫したり、ヨナタンはもじゃもじゃでとか、デザインの着地点については、細かいところまで山井と2人で話し合いながら作りましたね。

山井:パンクは唇の形がこうだ、みたいな。他のキャラクターに関しては、いずれ設定資料集を出すつもりなので、そちらで土居が語ってくれるでしょう(笑)。

──他のキャラクターといえば、発売前に情報が伏せられていた人々も多いですよね。例えば、ファンの間で物議をかもした女子高生・ヒカルとか……。

土居:ヒカルが女子高生の格好をしていることには理由があります。僕たちは女子高生を普段から見慣れていますが、主人公たちは東のミカド国から来た人なので、女子高生というもの自体を理解していないんですよね。東京の人々の目線で見れば、すでに学校なんてない世界なのに制服を着ているヒカルはかなり浮いている存在なんですけど、主人公たちにはそれがわからない。そうした認識のギャップを出せると、おもしろいと思ったんです。

山井:ちなみに今、追加コンテンツでヒカルが着ている学生服の男性用バージョンである“自由の鎧”を配信しているのですが、あの制服の名前にも理由があります。学生時代って、社会人に比べるといろいろ自由じゃないですか。大人に比べるとそこまで責任はないし、なんにでもなれる存在で、自由の塊なんですよね。それがヒカルというキャラクターにマッチしているので、彼女は学生服を着ているわけです。

土居:ヒカルは、ユーザーさんがニヤリとしつつも、ちゃんと意味がある設定を持ったキャラクターなんですよ。彼女の格好が浮いていることも、とあるルートでちゃんと理由が語られるので、気になる人はそのルートを探してみてほしいです。

『真・女神転生IV』
▲荒廃した東京ではかなり異質な、学生服姿のヒカル。彼女の秘密は、とあるルートで明かされるので、未見の人はぜひ探してみよう。

山井:今回のキャラクター設定や衣装は、勢いで決めたものは1つもありません。時代考証も含めて、すべての設定がきちんと理にかなうように作っているんです。

土居:むしろ、理にかなうような設定の土台を作ることにかなり時間をかけました。東のミカド国の文化水準に関しても、中世というだけでは幅が広すぎますよね。だから、西暦何年くらいをベースにしているのか、という部分まできちんと設定してあります。

小塚:一見よくわからない設定や謎も、NPCの話をしっかり聞くとヒントがあるので、話を聞いて自分の中で解答をつないでもらえたらうれしいです。

──なるほど。では次に、後半の2つの●●に登場するアキラやキヨハルなど、発売前には未公開だったキャラクターについておうかがいしてよろしいでしょうか?

山井:2つの●●は、アキラとキヨハル、そしてケンジが中心になる場所です。あの場所の成り立ち自体はゲーム中でわかるようになっていますが、基本となる●●をニュートラルルートの延長だとすると、それぞれの●●がロウとカオスの延長上という設定なんです。それは、ある分岐点から変化した結果の●●ということですね。

──このへんのお話、1度クリアした人にとってはすごく重要になる部分だと思うので、ぜひ掲載させてもらいたいです。伏字だらけかも知れないですけど……(笑)。

土居:ちなみに、アキラはすべての●●に存在していて、キヨハルは、いわゆるロウヒーロー。ケンジはカオスヒーロー()なんです。キヨハルがロウヒーローとして創世した結果が●●の●●で、ケンジがカオスヒーローとして創世した結果が●●の●●ですね。

※ロウヒーローとカオスヒーロー:初代『真・女神転生』では、ニュートラル思想の体現者(主人公)がヒーロー。ロウ、カオスそれぞれの体現者がロウヒーロー、カオスヒーローと定義されている。キヨハルとケンジの立ち位置は、シリーズファンならニヤリとくる設定だ。

山井:NPCの話を聞いていくと、キヨハルとケンジの同僚だった少年がどちらの●●でも死んでいることがわかります。その少年がいわゆるヒーローにあたる存在ですね。つまり、どちらも柱が抜けちゃったことで、世界としては失敗してしまっているんです。●●●●●●は、主人公たちに失敗例として彼らを見せたかったんですね。

土居:キヨハルの造形は、●●の●●で生き残って年をとったロウヒーローはどうなるのか……という部分から発想をふくらませて、ルックスを設定しています。

──キャラクターのイメージもそうですが、あの場所で流れる音楽は『真・女神転生』のロウやカオスのテーマがアレンジされていて、シリーズファンとしてグッときました。

小塚:今、山井が話していたように、●●の●●はロウの失敗例なので、ロウのテーマを崩してアレンジしています。失敗はしたけれど、まだロウの思念は残っているイメージですね。

山井:今回は、神と悪魔の戦いに人間が巻き込まれるドラマです。だから、キヨハルとケンジは、その戦いに巻き込まれてしまった人間の末路を描いています。

土居:すべてに共通して登場するアキラは、ルックスでも共通性を持たせてありますね。頬に入っている傷や特徴的な眉毛など、両者を見比べてみるとわかりますよ。

──なるほど。では、アキラやケンジなどの後半に登場するキャラクターも含めて、皆さんが特に愛着のあるキャラクターを教えてください。

山井:僕はタヤマです。同じ中間管理職だからか、彼の気持ちがよくわかるんですよね。上には悪魔がいて、もっと赤玉をよこせと脅してくる。下には東京都民がいて、もっといい暮らしをさせてくれないと阿修羅会の言うことを聞かないぞと文句ばかり言う。なんだかすごくシンパシーを感じちゃいます。シナリオを書いていても、タヤマのセリフはポンポン出てきました。

土居:僕は2人いるんですけど、かまいませんか?

──もちろんです。

土居:1人目は、ヒーロー然としたキャラクターを目指して作画した主人公です。作品の顔とも言える造形を目指しましたので、試行錯誤した分、愛着も深いです。もう1人は、先ほどお話したアキラです。アキラというのは、人類の新たな可能性を目指して戦ったけど敗れた人なんですよ。ですが、自分の夢に対して破れても後悔はしていない。敗れて終わってしまった人ではなくて、いつか必ず達成させるという、隠れた闘志にあふれたキャラクターだと思っています。

小塚:なかなか決めづらいんですけど……Kやホープのようなキャラクターは、台詞の端々から大人のビターな世界が垣間見えて好きですね。あと、バロウズ。台本のセリフを読んで、声がつく前から彼女はきっと人気が出るだろうと思っていました。

──巷では、バロウズがヒロインあつかいされているくらい人気がありますよね。イザボーもかわいいと思うんですけど……。

山井:バロウズはどうしたって付き合いが長くなるので、情が移るユーザーさんも多いのではないでしょうか。失敗したな~。もし、あのAIがタヤマの声だったら、もっとタヤマの人気が出たってことか……。

──見た目はバロウズのままで!? いやいや、どうなんですかそのAI(笑)。それにしても、バロウズ役の甲斐田裕子さんはもちろん、今回は声優さんの熱演が光りますね。高木渉さん演じるターミナルの番人とか。

土居:収録を聞いた山井が喜んでいましたからね。高木さんは、他にも大天使マンセマットを演じていまして、あのキャラクターもピッタリはまってます。……って、実は番人の正体はマンセマットだったなんて設定じゃないですよね?(山井さんのほうを見ながら)

山井:んー。じゃあ、番人の正体は『ソウルハッカーズ』のランチ()ということで!(笑)

※ランチ:『デビルサマナー ソウルハッカーズ』に登場するキャラクター。3DS『デビルサマナー ソウルハッカーズ』にて、高木渉さんが彼の声を担当している。

『真・女神転生IV』
▲高木渉さん演じるターミナルの番人は、新たなターミナルを訪れるたびに違った姿で登場する。姿ごとにきちんと演じ分けられているので、サウンド設定で音声をオフにしている人も、ぜひ聴き比べてみてほしい。

→チャレンジしてこそ『女神転生』シリーズ(4ページ目)

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データ

▼『真・女神転生IV』
■メーカー:アトラス(インデックス)
■対応機種:3DS(ダウンロード版)
■ジャンル:RPG
■発売日:2013年5月23日
■価格:6,300円(税込)
▼『真・女神転生IV 限定モデル』
■メーカー:アトラス(インデックス)
■対応機種:3DS
■ジャンル:RPG
■発売日:2013年5月23日
■希望小売価格:25,880円(税込)
 
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Amazon.co.jp

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