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2013年8月14日(水)

【ほぼ毎日特集 ♯33】『ダンガンロンパ』や『コンセプション』の齊藤祐一郎さんを直撃!! アウトドア派でゲーマーの白黒クリエイターに迫る(kbj)

文:kbj

■開発と一体となった展開ができた『コンセプションII』

――さきほどの話にありましたが、開発当時にやり残しはなかったが、終わってからいろいろ出てきたために『コンセプションII』を立ち上げられたということでしょうか?

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 『コンセプション』は、僕らの思っていた販売数までは到達していなかったんです。ただ、2作目であれば1作目をプレイしたユーザーさんが抱えていた不満も解消できるし、1作目で存在を知らなかったユーザーさんに対して存在をアピールしていけば手に取ってもらえる、そしてまだ将来性のあるタイトルだと感じていたので、会社には「ぜひ2作目をやりたい、やらせてほしい」と交渉しました。

――予算という意味では、変わらずPSPでリリースしたほうが負担は少なかったと思うのですが、機種を増やしたこと、PS Vitaに移行した理由は何だったのでしょうか?

 そもそも『コンセプション』を出したタイミングで、PSPという市場自体が縮小しつつあるのが見えていました。『II』の企画段階で、発売タイミングにPSP市場が『1』発売当時より膨れ上がっていることはないと思いました。緩やかに下っていき、ハードは移行しつつあるという傾向があったので、PS Vitaと3DSにしました。

 実はそのタイミングでは、PS Vitaユーザーと3DSユーザーの趣味趣向はまだわかっていなかったんですよ。ただ僕ら開発としては、『コンセプション』はアドベンチャー要素とRPG要素があり、受け入れてくれるユーザーは多いと思っていたので、アドベンチャー好きもRPG好きも入ってこられるように間口を広げたかった。どちらにしろ前作を知らなかった人が多いということで、2つのハードにしました。

――発売された後に、企画が動いたとすると開発期間は1年と少しですよね? ハードを増やしてグラフィック的にも向上しているうえに、1年で発売というのは、通常ならばありえないと感じたのですが……。

 開発スケジュール的にはだいぶ厳しい部分は正直ありました。しかし、『1』を作った時から「作るからには続編も作りたい」と開発会社さんも思ってくれていたため、『1』の開発が終了した直後から、基礎研究もかねてPS Vita用に『1』を調整する作業を進めていたんです。ゲーム要素を0からビルドし直すのは難しかったと思うのですが、そのような土台がある程度あった。『1』の要素をボリュームアップ、パワーアップさせていくのであれば、「このスケジュールでも行けそうだ」と先方が言ってくれたんです。

――開発会社の協力もあり、実現したんですね。

 PS Vitaと3DSという新しいチャレンジをこのスケジュールでできるのであれば、ぜひやりたいという話になりました。開発会社さんの開発力自体を信頼してスケジュールを立てたのですが、実際は厳しいところもありました。

 今回は、どちらか一方のハードで開発して最適化したのではなく、PS Vita版はPS Vita用のモデルで、3DS版は3DS用のモデルというように作っています。これは先方の下ごしらえと言うか、先行投資の部分があったからこそ、それぞれのモデルをしっかりと詰めていけました。これがなかったら、このタイミングでは出せていないですし、プラットフォームも2つにできていたかどうかも怪しいです。

――『コンセプションII』では、かなりファンタジー要素が増えていると感じました。これもサブタイトル同様に、手に取ってもらうための施策として取り入れたということなのでしょうか?

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 サブタイトルを変えているのは、新しい人の手に取ってもらうための施策ですが、ファンタジー要素については、RPG要素の強化につながり、前作のユーザーさんからの要望に応えるという意味合いが大きいです。

 前作を手に取ったもらったユーザーさんからの意見には、「ダンジョンが12個あって攻略していくのはいいけど、主人公とヒロインとの間に関連イベントがなくて盛り上がりに欠ける」とか「単調に感じてしまう」という意見がありました。それを受けて今回は、ダンジョンをクリアするとしっかりストーリーがあって、主人公とヒロインだけではなく、主人公と親友や親友とヒロイン、ヒロインとヒロインなど、世界の中をキャラクターたちが動くような形で話を作っています。

――ヒロインの数が12人から7人になったのには、キャラに深みを出そうという考えからでしょうか?

 前作の12人は、僕らが恋愛アドベンチャーゲームを出したことがなければ、RPGも出したことがなかったため、ヒロインの数はそれなりにいなければダメでしょうということになり、チャレンジという意味も含んでいました。その時にもっとも求められているヒロイン像というのはわからないけれども、こちらが提案したいヒロイン像が12個あったんです。

 ただ、続編を作るに際しては、ユーザーさんからの意見がありつつ、僕らが他のゲームタイトルやアニメを見て女の子の“属性”を勉強していく機会があったということもあり、最終的にはヒロイン1人1人のキャラを厚くしていくことで、求められている性格を出しつつ数を絞り込んでいき、7人にしました。いわば、選抜メンバーですね。

――ヒロインの人数は“7つの大罪”というテーマがあって、7人にしたんでしょうか? それとも絞り込んだすえに7人くらいかなというところで設定を後から付けたのでしょうか?

 わりと両方ですね。前作が12星座の巫女というところで語呂がよかったので、人数を絞り込んでいくにせよ、理由付けは欲しかった。8人か9人という案もあったんですが、ちょうどチュンソフトのほうで『極限脱出 9時間9人9の扉(999)』をやっていたため、かぶるのも微妙だなと(笑)。結果として、7人だったらちょうどいいと考えたところ、開発会社さんも7人だったらキャラクターのモデルもしっかり作り込めるし、ボリューム面でもバランスがいいだろうとなりました。

 正直言うと、8人でも9人でもやれなくはないですが、その分1人あたりに割ける時間が少なくなってしまうと言われたので、個性的なキャラならば7人で成り立つだろうと判断して決めました。

――7人のキャラクターの中で齊藤さんのイチオシというか、好きなキャラクターを教えていただけますか?

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 フウコですね。バランスがいいというか、見た目を含めて欠点らしい欠点がないですよね。ここが悪いけど、こっちの部分がいいというギャップではなく、正統派でいつも身近にいる友だちキャラ。そんな性格がありつつ、見た目もツインテール。その他のヒロインは、何かしら飛び道具的な要素、『コンセプション』シリーズならではの変わった部分があるというヒロイン像が入っているんですね。その中であえて普通なのが逆に個性。他はわりと飛んでいる人たちが多いので、その中に入ると普通ということがむしろ個性になるのが僕は好きですね。

――ちなみに前作ではどのキャラが好きですか?

 前作だったらファルンかユズハですね。ファルンの、元気なお姉さんキャラで行きたいけど主人公の前ではつい弱いところを見せてしまうというところ、そしてグラマーなところ(笑)。ユズハは、そのはかない見た目と運命に涙が誘わる、守ってやらなきゃ感がグッときます。

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――前作から女の子のある部分が“プルン”ってなるじゃないですか? ああいう仕様にしたのは何故なんですか?

 あれは、開発会社さんのほうでああいう仕様になってたんですよ。指示したわけではなく、「言わなくてもわかってますよ」的な感じでやってくれていたので、僕も何も言ってないです。むしろ、初期のころは物理法則を無視しすぎなくらいでバフバフ動いていたので、もうちょっと抑えてもいいんじゃないかと感じました。早送りするとすごいことになっていたんですよ。

――なるほど(笑)。

 バスケのドリブルみたいだったので、そこは抑えていただきました。

――会話のシーンを見ててもちょっと気になりますよね。おや……揺れてるみたいな。

 早送りをすると、ある意味で一番わかりやすいんですよね(笑)。

――前作では、遊びやすさがすごくいいと思いました。早送りをしてもアニメーションを見られるし、戦闘をオートで進めることもできる。この辺は齊藤さんの培われてきたRPGへの不満とか要望が入っていたということなのでしょうか?

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 RPGユーザーとして僕がそうだったのですが、新しいバトルシステムがないと戦闘部分で満足してもらえない。「同じだからつまらなそう、他のと同じでしょ?」と思ってしまうので、新しいシステムとして“ポジショニングバトル”や“オーバーチェイン”というシステムを入れました。

 一方で、ヒロインがカワイイと思って購入した人は、普段RPGを遊び慣れていないかもしれないので「難しい」と感じられるのは避けたかった。そういう人たちに僕が最初から最後までアテンドするのは不可能なので……そこをオートでやってくれるシステムを入れたいと考えたんです。

――齊藤さんに代わってユーザーをサポートしていれるシステムですか。

 RPGをたっぷりやっていたユーザーとしては、レベル上げで何度も同じ敵とバトルするのはだるいので自動でやってくれたらうれしいじゃないですか? ただ、全部をオートでやってしまうとおもしろさや満足感を感じられない人もいる。主人公だけは自分でコマンドを入力して、その他の子どもに関してはあくまでサポートにすれば操作している楽しさを感じられるので、セミオートも用意しました。

 なので、実は初心者も熟練者もニーズ的には合致することがわかり、オートを入れたんです。早送りはRPGに慣れ親しんだ人向けのシステムですね。RPGの一番楽しい部分は戦闘であり、面倒くさい部分も戦闘になってくる。そこを少しでもストレス感じずにプレイしてもらいたかったので。

――ゲームを遊んでいる齊藤さんならではの視点ですね。

 そこに関して言えば、僕はプロデュースグループの中でもゲームを遊ぶほうなのですが、そこまでゲームが得意ではないんですよ。特にアクションゲームは苦手なんです(苦笑)。弊社でローカライズしている洋ゲーも一応かじってはいるのですが、基本的にうまくない。しかし一般的にはゲーム開発者って自分でゲームが好きだし、うまい人が多いので、難易度が上がりがちなんです。

 それがハードの設定ならばいいんですけど、あんまりゲームをやらない人からしたらそれは厳しい。そういう考えが僕の根底にあるので、難易度についてはかなり気を遣います。

あのキャラの誕生や“W愛交ノ儀”に込められた秘密とは!?

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