2013年2月18日(月)
――モンスターという題材は北米市場を意識してのことだそうですが、一般的に合成と言われるものが生贄だったり、血しぶきが飛ぶムービーだったりというのは、どういう風に決めたのですか?
カルチャライズが成功しないと、海外では受け入れられないのではないかと考えていました。社内にいる外国人スタッフに、北米のゲーム市場やゲームに対する感覚をよく相談したうえで、演出や名称の決定をしていきました。
例えば合成は、英語にすると“Fusion”なのですが、これは北米では子どもっぽい印象として感じられるらしいのです。ダークファンタジーの中にキッズ要素があるのはおかしいので、世界観から逸れないように演出や名称を決めています。海外の方にもモンスターを強化するというイメージを伝えつつも、合成という言葉は使わないダークファンタジー的な用語は何かないかとみんなで考え、生贄にしました。
――他の用語も苦労しそうですね。
モンスターの名前は大変です。実は『ダークサマナー』のモンスターの名前は、すべて私が決めているんです。今はざっと1,500体いて、名前としてはその半分くらいですが、それくらいの名付け親になっています。加えて、モンスター図鑑で見られる説明書きも、私がすべて書いています。私の個人的なタスクとして、これが一番楽しいところでもあり、つらいところでもあります。もうアイデアが枯れそうです(笑)。
――骨のモンスターだとスケルトンとなりますけど、何種類もいたら名前を考えられないですよね(笑)。
最近はAAAのモンスターが追加されているのですが、こういう特殊なモンスターの場合、モンスターの説明ではなく、『ダークサマナー』の世界の中にいる住人がこのモンスターを見た時にどう思ったか、といったようなことを伝承という形にして書いています。そういう細かいこだわりがたくさん集まって、世界観の統一ができているのかなと思います。
――キャラクターはどのくらいのペースで作られているのですか?
差はありますが、イベントで追加モンスターを次々に追加しているので、月30~40くらいは作っていると思います。イラストレーターさんからいただいたモンスターのイラストを、自分のモニターにばっと並べて考えています。
――先にイラストがあって、名前や説明を付けるのですか。
そうです。イラストレーターさんにこういう感じのモンスターをお願いしますと言って描いていただくのですが、でき上がってきたものがいい意味でイメージを裏切られた時には、そのままOKを出して受け取ってしまいます。1つ1つじっと見て、「あなたの特技は何ですか? ああ火が噴けるんですか」みたいな感じでモンスターの名前を考えるという、集団面接をやっています(笑)。
――でもその仕事は他の人にはさせていないと。
なるべく統一感を持たせたいですし、用語の使い方を統一させるためにも、私が全部やっています。個人的に好きな役割ですので、どんなに忙しくてもやらせてもらいます。
――先にそういう絵を発注するわけですね。どのような感じで発注するのですか?
なんとなくこんな感じのものを……みたいな感じで、結構アバウトですね。詳細に決める時もあるのですが、例えばドラゴンを描くとして、グリーンで4つ足で翼があって口から火が出ている、みたいなので来られても困るというか。そういう王道のドラゴンがいてもいいのですが、やはり『ダークサマナー』でしか見られない形状のモンスターをたくさん出したいので。ですから、自由な発想で描いていただくことが多いですね。
――絵としていい感じになれば、あとは斉藤さんがなんとかすると(笑)。
設定は後から付けます(笑)。見た目に珍しいタイプの新鮮なものを描いていただければなんとでもします。ゲームバランスとして、どうしてもこういうモンスターが欲しいとお願いすることもありますが、基本的には自由にやっていただいています。
――イラストもさまざまなイラストレーターさんが描かれていますが、印象深い方といえばどなたでしょう?
著名なイラストレーターさんにもご参加いただいていますが、個人的に好きなのは某有名ホラーゲームを手掛けられた伊藤暢達さんですね。海外でも人気が高いです。
▲モンスターには1つずつ解説が付いている。コレクションから閲覧できる。 | ▲伊藤暢達氏もイラストレーターとして参加。 |
――まとめとしての世界設定のようなものは作られていますか?
表には出していないのですが、この世界にはどういう経済が発達していて、どういう社会が形成されていて、なぜモンスターを召喚できるのかといった内容を、私のメモ帳に全部書いてあります。これを世に出す機会があれば出そうと思って書きためましたが、残念ながらまだ出ていません。
――なるほど、裏ではしっかり作ってあるわけですね。
召喚にしても、設定的には召喚ゲートを作って、そのゲートを異次元につなげるということになっています。
――もしかしてその辺りの設定は、召喚した時のムービーになっているのですか?
一瞬しか見えないのですが、召喚のゲートの周りにはスチームパンク的なコードのようなものがあり、地面に接続されています。そこから魔力を供給して異次元に扉を接続している、という設定になっています。他にも細かい設定はさまざま作ってあるのですが、ちょっとディープすぎるので、ゲームはもう少しカジュアルに行くことにしています。
――そう言われると、ストーリーのようなものも見たいですね。
最初のうちは、なるべく難しいことを考えずに気軽に遊べるようにということを意識していました。外国人のスタッフと相談した時、『Mafia Wars』が売れた理由は、遊ぶのに5分かからないからだという話がありました。ぱっと遊んですぐ終わるのがかっこいい、という文化があったようです。ですので、なるべくカジュアルにして、ハマりこんでからそういうものを出していけばいいのではないかと思って作っていました。そのままカジュアルになりっぱなしというのはありますが(笑)。
▲召喚のムービーをじっくり見ると、確かにコードのようなものが。 |
→大物アーティストも参戦! グッズの展開は?(4ページ目へ)
(C)Ateam Inc.
データ