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2013年3月29日(金)

『BEYOND: Two Souls』ディレクター&エグゼクティブプロデューサーに聞くQuantic Dreamのゲーム作りとは――開発スタッフインタビューその1

文:おしょう

■1人の少女の15年間の人生を物語を通して語る

――物語についてもお聞きします。これまでのDavidさんの作品では、複数の主人公の視点で物語が語られることが多かったのですが、今回1人の主人公、さらにはそれをジョディという少女に設定した理由をお聞かせください。

David:少女を主人公にしたのは、あくまでストーリーを構築するうえで最もインスピレーションを喚起したからです。マーケティング的な意図で設定したのではありません。この『BEYOND:Two Souls』においては“1人の少女の15年間の人生を物語を通して語る”ということが大事でした。その15年間のなかで彼女がどのように成長し、どのような困難に立ち向かい、どのような人格が形成されていくかに重点を置いたのです。女性は男性に比べ、多彩な感情を表現しやすいというのも大きいですね。

『BEYOND:Two Souls』

――物語のテーマとしては“成長”というのが重要なポイントなのでしょうか。

David:ジョディが困難に直面してどう成長していくかはとても重要です。「誰かの人生を通してその成長を体験する物語」を表現できるメディアはそう多くはありません。とくにゲームの場合は、プレイヤーにとってよりユニークな体験を提供できますし。

――“人生”、“成長”というと、例えばジョディが恋愛するようなシチュエーションもあるのでしょうか。

David:『BEYOND:Two Souls』は人生を描く物語です。人生の中には、もちろん生も、死も、恋も、争いもあります。

――ジョディの物語を15年間という期間に設定した理由は?

David:実際に人生すべてを語ろうとなると、とても長いゲームになってしまいますので(笑)。ですのでジョディの人生のなかで最も意味のあるポイントを選んで、それを15年間に落とし込んだ形になりました。

――Davidさんは『HEAVY RAIN』をはじめ、“ゲームできめ細かい感情を表現する”という部分では唯一無二の作品を作られていると思いますが、映画や小説ではなく、ゲームというメディアで感情を表現するということの魅力と、本作でそれを表現するにあたっての手ごたえをお聞かせください。

David:ゲームはさまざまなエンターテイメントの中でも、受動的ではないメディアであるという点が大きいです。映画などの場合、目の前で展開されるものを観ることしかできませんが、ゲームは自分がかかわることで物語の流れを変えられたり、登場人物に感情移入して物語を見られるのがエキサイティングといえるでしょう。

 ただ、一般的なゲームの多くは特定の感情しか表現しません。アクションゲームならストレスとか恐怖とかですね。私はそういった感情以外にも興味を持っていて、笑ったり、泣いたり、同情を誘ったりといった、人生にかかわってくるすべての感情を、ゲームを通して表現したいのです。

――そのようにして生まれたDavidさんの作品は、日本でも多くのゲームファンやクリエイターに支持されています。ぜひそういった日本のファンにメッセージをお願いします。

David:私は子どもの頃から日本が作ったゲームを遊んで成長しましたので、日本のゲームクリエイターをとても尊敬しています。さらにゲームクリエイターだけでなく、宮崎駿さんやさまざまな漫画家の方の作品も見て育ちました。ですからそのような日本の方々に『BEYOND:Two Souls』を遊んでもらえるのは光栄ですし、どんな反応が得られるか期待しています。今回も『HEAVY RAIN』と同様、SCEJのみなさんが日本語にローカライズしてくれるので、より多くの日本の方々に楽しんでいただきたいですね。あとは、東京に行く機会があったら、ぜひ日本の皆さんにお会いしたいと思っています。

『BEYOND:Two Souls』

→エグゼクティブプロデューサー
Guillaume de Fondaumiere氏インタビュー(3ページ目へ)

(C)Sony Computer Entertainment Europe. Developed by Quantic Dream.

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