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2013年4月30日(火)

『サイコブレイク』の三上真司氏に聞くスペシャルインタビュー! “狂った世界”を打ち破る新作サバイバルホラー

文:チョロ松

■これはホラーエンターテイメントだ! 怖さを表現するための手法

――三上さんと言えば「バイオハザード」の生みの親として知られていますが、スタッフの皆さんでサバイバルホラーというジャンルに携わったことのある方は、やはり多いのでしょうか?

片貝:開発の核になっているスタッフに関しては、かなり経験を積んだ人が多いです。僕自身もこれまで三上と一緒にやってきましたし、いろんなタイトルにかかわったスタッフがそろっているので、“怖さ”を作っていくという面では、やっていて非常におもしろいですね。

『サイコブレイク』

――今作で初めて組んだスタッフから、これまでに思いつかなかったアイデアが飛び出してくることもありますか?

片貝:たくさんありますよ。

木村:そういうことを、すごく大事にしているチームだと思います。皆がいろんなことを言って、それらを取り込んで、もんでいくがゆえにできるという。それはTango Gameworksの強みかもしれません。

片貝:トップダウンの作り方はしていないですね。いろんなセクションのアイデアで出来上がっていきます。

木村:「サバイバルホラーというジャンルを確立した人に、ホラーとは何ぞやを語るか?」という(笑)。でも三上も、そう言われると「ホンマやな」となって、いいところはどんどん受け入れています。

片貝:いわゆる“監督さんの作り方”ではないですね。三上のやり方は。

――本作は日本だけでなく、海外でも売っていくわけですが、その辺の意識が開発に影響することはありますか?

木村:日本向けに、海外向けに何かしよう、という考え方はしていません。ユーザーの直感的な感情というものだけを意識していて、それが成功すれば、言葉も文化も関係なしに伝わっていくのではないでしょうか。デモプレイからもわかっていただけたと思いますが、コントローラを持つユーザーと、主人公の感情をできるだけ近いものにしていきたいと考えています。

――主人公の国籍は特に決めていないとうかがっていますが、その辺りでデザイン的に苦労した点はありましたか?

片貝:主人公のデザインに関しては、時間をかけてあの形に落ち着いたというところで、具体的にはどうかな。舞台自体も二転三転しているので(笑)。今までの経験で、その辺がひっくり返らなかったことがないという。大変ですよ(笑)。

木村:『サイコブレイク』に関して言えば、その二転三転の結果がすごくいい形でまとまるような気がします(笑)。

『サイコブレイク』

――主人公の同僚のジョセフは、日本人だそうですが、それを意識してデザインされましたか?

片貝:はい。日本人ということで、社内でも彼に思い入れがあるスタッフは多い気がします。

木村:今作はストーリーとかキャラクター性、登場人物同士の人間関係などをすごく大事にしているので、そういうところでジョセフの能力や魅力がクローズアップされていくかと思います。日本人らしさも、おそらくそういったところで感じられるのではないでしょうか。

――ゲームの中で、ビックリ箱のような演出がたくさん用意されているとうかがいました。ビジュアル面でも、そういった部分が表現されていますか?

片貝:“ホラーの質”的な部分で言えば、三上が今まで作っていたゲームのテイストとは違う方向性も取り入れています。それは多分、敵のデザインにも現れていると思います。それがすべてというわけではないですが、バリエーションの1つですね。

――デモプレイの中で、「何が起こっているんだろう?」と、ユーザー自身が混乱してしまうようなシチュエーションがありました。

片貝:「自分が今どこにいるんだろう?」「ここはどこにつながっているんだろう?」という感覚は、まさに『サイコブレイク』で狙った部分です。木村も話しているように、ユーザー的な視線で主人公と感情を共有してもらえればと思います。

木村:ゲーム発売前に、さまざまな情報を読者の皆さんにお知らせしていくことになりますが、「それが本当に成り立つの?」というような、さまざまに変化する場所やシチュエーションを紹介する予定です。ビックリ箱のようないろんな要素が渾然一体となって詰め込まれているのが、『サイコブレイク』なんです。

――ゲームに登場する中で、お気に入りのキャラクターはいますか?

木村:敵のクリーチャー、変なヤツがいっぱい出てくるんですよ。「これ、いいの!?」というヤツがいて、特に気に入っているんですが、それ以外にも三上のゲームらしくない、とがった敵クリーチャーがたくさん登場します。それぞれクセがあって、好きですね。

片貝:すべて苦労して作っているので、どれも全部好きです(笑)。社内のスタッフからも「これが気に入った」という話をよく聞きます。好みはバラバラですけどね。かなり自信があるので、敵のデザインにも注目していください。

――デモプレイで登場した以外にも、クレイジーな敵がたくさんいるんですね。

木村:あれはほんの助走です(笑)。

――デモプレイでは、割とストレートなホラー表現が多かったのですが、ゲームが進むにつれてそういった表現は変化していきますか?

片貝:コントラストをつけるという意味で、いろんなバリエーションがあります。血みどろな空間もあるし、すごくきれいで明るい空間もあるし、外に向けて広けた空間もあるし、という感じです。“恐怖”のバロメーターって、ずっと上げ続けることはできなくて、どっかでマヒしてくるんですね。なので、1回ドーンと落としてあげる、ユーザーを安心させてあげるということが必要なんです。そういった面でも、いろいろと工夫しないといけないなと、思います。

『サイコブレイク』

――音響とビジュアルのマッチングもすごかったです。サウンドチームとも密に連携しているのでしょうか?

木村:三上自身がサウンドチームのところにいって、よく注文をつけていますね。逆に、サウンドチームからビジュアルに関する意見が出てくることもあります。いちばん大事なのは、ユーザーがどう感じてくれるかですから。

片貝:ホラーに関して言えば、音って主役級の働きをするじゃないですか。今回も音については相当調整しているので、三上のカラーが特に出ているかもしれません。

――デモプレイでは効果音のみで、BGMがなかったような気がしました。

木村:もしそう感じていただけたなら、大成功です(笑)。実はポイントごとにBGMが鳴っているんです。BGMと効果音のバランスは、かなり気をつかっている部分の1つです。

――“サバイバルホラーとは?”について、木村さんと片貝さんのお考えをお聞かせください。

木村:僕は、ものすごくホラーが好きというわけではないんですが、料理に例えると「甘すぎても辛すぎてもダメ」という感じで、両方あるから止まらなくなってしまう。そのバランスが重要だと考えています。怖いという感情と、それを打破した時の気持ちよさ、その2つをつなげるスパイスが、サバイバルホラーなのではないでしょうか。

片貝:ただのホラーゲームとは違いますよね。僕は怖すぎるゲームは苦手なんですが、「面白いんだけど、怖くてためらっちゃう」という気持ちを楽しむ、エンターテイメントとしてのホラーが、サバイバルホラーなのかもしれません。

木村:以前、「これはホラーエンターテイメントだ!」って言ってましたね。

――発売が2014年ということで、これから山あり谷ありだと思いますが、先は見えている感じですか?

木村:それはしっかりと。でも、「いろいろ頑張らないとな」というのも見えています(笑)。

――それでは、『サイコブレイク』に期待しているファンの方へ、メッセージをお願いします。

木村:純粋なサバイバルホラーというものを、もう1回しっかり作ろうということでスタートしたタイトルです。まずは、それが好きな方に楽しみにしていただきたいです。アクションでもホラーでもない、サバイバルホラーというものをお届けします。期待は裏切りません!

片貝:本格的で、エンターテイメント的なホラーというものを、僕ら自身も欲していたところがあるので、ホラーファンやゲームファンに向けて満足いただけるようなものを、作り手としてお届けします。

『サイコブレイク』

→三上氏が考えるサバイバルホラーとは!?(4ページ目へ)

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