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2010年3月16日(火)

【経営者は語る 第4回】ガンホー社長兼CEO森下一喜氏に聞く、同社の新戦略

文:電撃オンライン

■『Mobile Story』はスピンアウトではなく新たなメインストリームを成すMMORPG

──では、あらためて『ラグナロクオンライン Mobile Story』について教えてください。『ラグナロクオンライン』関連で携帯電話コンテンツといえば、ジー・モードさんの『ラグナロクオンライン GAMES』がありますよね。それらとはどう位置づけが違うのでしょうか?

森下氏:まず『ラグナロクオンライン Mobile Story』は完全なMMORPGであって、プレイに終わりがありません。それに対して『ラグナロクオンライン GAMES』の作品は、オーソドックスなクリア型ゲームだったわけです。

──まずプレイ内容からして違うと。『ラグナロクオンライン GAMES』が、典型的なスピンアウト作品群だとすると『ラグナロクオンライン Mobile Story』は……。

森下氏:MMORPGとしてのメインストリームに近い存在です。PC版『ラグナロクオンライン』とは異なる部分も当然ありますが、あくまで他プラットフォームで出した『ラグナロクオンライン』そのものであり、従来のスピンアウト作品群とは違うということになります。もちろん、互いにシナジー効果を発揮して「『ラグナロクオンライン』っておもしろいな」と思っていただければ最良の展開です。

 『ラグナロクオンライン』の本来のあり方はMMORPGですから、携帯電話でプレイする『ラグナロクオンライン Mobile Story』よりも、むしろニンテンドーDS向けの『ラグナロクオンラインDS』のほうが、スピンアウト側に当たるわけです。

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▲『ラグナロクオンライン Mobile Story』

──『ラグナロクオンライン Mobile Story』はPC版の枝や葉に当たるのではなく、新しい幹に当たるということですか。

森下氏:そのとおりです。僕らとしてはオンラインを主軸に据えて、そこからいろいろなスピンアウトを考えているので、純然たるMMORPGの『ラグナロクオンライン Mobile Story』はいわば、新たなメインストリームです。

──だとすると『ラグナロクオンライン Mobile Story』は、PC版と同じように定期的な大型アップデートが加わって、プレイ内容がどんどん追加されていく、と。

森下氏:そうです。その点はPC版となんら変わりません。もちろん、携帯電話で操作するという特性上、ゲーム自体にはいろいろ違いがあるのは前提ですが。

──では例えば、『ラグナロクオンライン Mobile Story』がうまく軌道に乗ったあとに、例えば同じくガンホーのMMORPGである『エミル・クロニクル・オンライン』を携帯電話で展開することも、可能性としてはあり得る、と。

森下氏:『エミル・クロニクル・オンライン』をやると、いまの段階で断言はできませんが、可能性としてはあります。

──先ほど開発会社とのお話が出ましたが、『ラグナロクオンライン Mobile Story』を開発するに当たって、こだわったポイントについて教えてください。

『【経営者は語る第4回】ガンホー・オンライン・エンターテイメント 森下一喜氏』

森下氏:まずなぜ携帯電話版を作りたかったかと言いますと、自分も忙しくてなかなか思うようにPCの前にいられない、という実感があったりします。本当にいつでもどこでもできたら、おもしろいだろうなと。PC版のプレイ状況を見ていくと、例えば2月、3月といった異動シーズンにはお休みする方もいるわけで、ライフスタイルに入り込むには携帯電話しかないだろうと。どうにかしてPCの前にいる時間を作らなきゃという、変なプレッシャーもいりませんしね。

──それで、どうしても実現したかったと。

森下氏:作るうえでこだわったのは――再三になりますが――れっきとしたMMORPGだと思ってもらえることです。アーティスト達が強いこだわりを持つ世界観を、携帯電話の中で実現するにはどこと技術提携すべきか? パートナー探しは、本当にインターネットで検索するところからやりました。で、エイタロウソフトさんを見つけて僕が電話し、アポイントメントを取ったのです。

──え、ええと、社長みずからですか!?

森下氏:当時まだ担当部署がなかったこともありますし、いきなり現場に任せても、通常業務がいろいろ忙しくて、話が進まないだろうと。まあ、僕がせっかちなせいもあると思います。さすがに先方は、あっけに取られていましたね。

──まあ普通、驚きますよね……。

森下氏:そのうえで、直轄の部署である新規事業開発室に指示を出しました。

──それは、いつごろのお話でしょうか?

森下氏:2007年ですね。それで当時の新規事業開発室長を連れて初訪問です。とにかく「これはちゃんとしたオンラインゲームだ」と思ってもらえる作品にしたかったので、その思いを伝えていろいろこだわりました。なにしろ携帯電話ですので、ユーザーインタフェース周りについては現場もいろいろ考えてくれて、良いものに仕上がったと思っています。

 まだ変えていきたいところもありますが、それはアップデートで順次対応するとして、オンラインゲームらしさについて言えば、きちんとポイントを押さえられたと思っています。

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